棟方志功の略歴

棟方志功略歴

1903年(明治36年)	青森県青森市に鍛冶屋の子として生まれる。小学校を出ると青森地裁の給仕になり、絵画を独学で勉強。

1921年(大正10年)	ゴッホの「ひまわり」に感動して画家を志す。

1924年(大正13年)	画家を志し上京。

1925年(大正14年) 22歳	東京市麹町区紀尾井町の東京教材出版社に住み込みの画工となり、教育掛図の原画などを描く。第3回白日会の出品作、「静景清水谷」が初の公募展入選。 10月、父幸吉死去。
	制作作品：静景清水谷（油彩）／清水谷静景（油彩）／果樹園（油彩）
1926年(大正15年) 23歳	版画家川上澄生の作品に感動。版画の道を志すきっかけとなる。画友の松木満史が上京し阿佐ヶ谷にに家を借り、その家で共同生活を始める。上野山清貢宅にて池大雅の作品を見て感動。

1928年(昭和3年) 25歳	版画家平塚運一のもとで版画を学び始め､本格的な木版画制作が始められる｡第9回帝展に油絵「雑園」で初入選。帝展の初入選が判明し、5年ぶりに青森に帰郷。両親の墓に報告。白日会に油絵、日本創作版画協会・春陽会に木版画を出品。
	制作作品：雑園（油彩）／星座の花嫁／
1929年(昭和4年)
	制作作品：星座の花嫁／
1930年(昭和5年)	国画会に版画を出品し、主要作品を発表し始める。チヤと結婚。
	制作作品：白野弁十郎／
1931年(昭和6年)
	制作作品：十和田・奥入瀬／
1932年(昭和7年)	日本版画協会会員となる。
	制作作品：十和田・奥入瀬A、奥入瀬B、奥入瀬C／
1933年(昭和8年)
	制作作品：十和田湖奥入瀬四題／桃真盛り／
1934年(昭和9年)	佐藤一英の“大和し美し”を読んで感動、制作のきっかけとなる。第9回国画会展「海峡寺・桜の庭」「青森・瀬野村の山」「青森・蛸田村の沼」を出品。
	制作作品：ヴェニュス生誕
1935年(昭和10年)	第10回国画会展に万朶譜「万朶譜・松・竹・梅」を出品。新潟に旅行。次女ちよゑ生まれる。
	制作作品：万朶譜／
1936年(昭和11年)	国画展に出品の「大和し美し」が出世作となり、これを機に柳宗悦、河井寛次郎ら民芸運動の人々と交流する様になり、以降の棟方芸術に多大な影響を及ぼすことになる｡
	制作作品：大和し美し／
1937年(昭和12年)	国画会同人となる。
	制作作品：華厳譜／空海頌
1938年(昭和13年)	第2回新文展に「善知鳥(うとう)」を出品､特選受賞｡
	制作作品：善知鳥版画巻／観音経板画巻／
1939年(昭和14年)	棟方志功手摺手拓の版画集「華厳譜版画集」「鬼門譜版画集」「善知鳥版画集」「空海頌版画集」日本版画協会より刊行。
	制作作品：斑鳩譜上宮太子御代伝版画巻／
1940年(昭和15年)	「釈迦十大弟子」を制作｡
	制作作品：釈迦十大弟子／上宮太子版画鏡／
1941年(昭和16年)	第5回佐分賞受賞。次男令明生まれる。倭絵「群鯉図」６曲半双の屏風制作（川崎市興林山宗隆寺）。展覧会：棟方志功第２回作品展（日本橋高島屋）
	制作作品：門舞男女神人頌板画柵１２柵／群鯉図（倭絵）／般若心経板画柵８柵（第４回新文展）／
1942年(昭和17年)	河井寛次郎・浜田庄司・芹沢銈介・棟方志功近作展開催。展覧会：棟方志功油絵展（日本橋高島屋）（２７作品）展覧会：棟方志功新作日本画展（日本橋高島屋）
	制作作品：崑崙頌６曲１双１６柵（第１７回国画会展）／華厳頌・再々心経板画曼荼羅鏡（第５回新文展）／華厳壁図（倭画）（大原邸）／御貝図（倭画）（大原邸）／連山々図（襖絵）（大原邸）出版関係：板散華／棟方志功画集（油絵作品集・昭森社）
1943年(昭和18年)	第18回国画会展に「年頭謹記『神祭』板画巻屏風」を出品。
	制作作品：万台不易不動明王の柵／
1944年(昭和19年)	第19回国画会展に「南北頌・万朶瞑華板画作」（板画）「令明堂と雑華山館家族達」（油彩）を出品。これらはのちに戦火にあい、作品の詳細は不明。
	制作作品：南北頌・万朶瞑華板画作／令明堂と雑華山館家族達（油彩）
1945年(昭和20年)	東京代々木の自宅「雑華三房」が空襲で消失。戦前の作品や板木のほとんどを失う。富山県福光町法林寺に疎開。住居を「躅飛閣雑華堂（しょくひかくざっけどう）」と称する。この間東町鍛冶家の一間を借り、「雑華堂絵所」の小札を掲げ制作の場とする。
	制作作品：鐘溪頌板画巻（全２４柵制作開始）／福光の柿の柵／
1946年(昭和21年)	富山県福光町栄町に住居を建て移り住む。アトリエを「鯉雨画斎（りうがさい）」と名付け、また谷崎潤一郎の命名にて自宅を「愛染苑（あいぜんえん）」とする。
	制作作品：愛染品板画巻（第１回日展）／挿頭花集／御松図（襖絵・渡河山西方寺）／御貝図（襖絵・渡河山西方寺）／万里水運長慈航又何処（襖絵・渡河山西方寺）出版関係：愛染品板画巻全１６柵（オリジナル板画集・日本板画院・限定３００部）／無応の鯉魚（細川書店）／
1947年(昭和22年)	第21回国画会展に「天雲頌・響神炎板画柵抜粋六韻」を出品。
	制作作品：白肌妃の柵／棟妃の柵／
1948年(昭和23年)	東京空襲により板木焼失の「釈迦十大弟子」文殊・普賢両菩薩を改刻する。柳井道弘に岡山県津山を案内され、その後もたびたび津山・美作地方を訪れる。
	制作作品：板経板画柵／不来方板画柵／猫の足句集／瞞着川板画柵／釈迦十大弟子文殊菩薩の柵（改刻）／釈迦十大弟子普賢菩薩の柵（改刻）／
1949年(昭和24年)	第23回国画会展に岡本かの子詩「女人観世音」を出品。
	制作作品：女人観世音板画柵／
1950年(昭和25年)	第24回国画会展に「道祖土頌（さやどしょう）」屏風を出品。
	制作作品：騎象仏の柵／騎獅仏の柵／波乗菩薩の柵／河井先生の詞の柵／栖霞品／
1951年(昭和26年)	第25回国画会展に「運命板画柵」を出品。東京都杉並区上荻に居を移す。
	制作作品：胸形変板画巻／薔薇妃の柵／
1952年(昭和27年)	第2回ルガノ国際版画展（スイス）で日本人初優勝賞を受賞。日本版画協会を脱会し、日本版画院を結成。渋谷東横百貨店にて個展開催。
	制作作品：半跏趺坐菩薩の柵／
1953年(昭和28年)	第27回国画会展に「流離抄板画巻抜粋屏風」を出品。
	制作作品：湧然する女者達々／流離抄板画柵／
1954年(昭和29年)	板画集刊行「板歓喜」龍星閣。板画集刊行「板歎異」龍星閣。
	制作作品：横臥裸女の柵／
1955年(昭和30年)	第３回サンパウロ・ビエンナーレ国際美術展で版画部門最高賞受賞。
	制作作品：鷹持妃の柵／傘さすの柵／
1956年(昭和31年)	第２８回ヴェネツイア・ビエンナーレで日本人初の国際美術展で国際版画大賞を受賞。「世界のムナカタ｣の地位を確立する｡
	制作作品：晴天妙板画柵／鍵板画柵／歌々板画柵／茶韻十二ケ月／
1957年(昭和32年)	第１回東京国際版画ビエンナーレ展に「古事記」をもとに神々の創生ををうたった横幅７４６cmの大作“群生の柵”を出品、海外審査員の支持は得るが、国内審査員の反対で受賞を逃す。
	制作作品：追開心経頌／鼓笛の柵／心偈頌／
1958年(昭和33年)	日展会員となる
	制作作品：飛流の柵太平洋に寄するの柵／
1959年(昭和34年)	東京国立近代美術館で『ヨーロッパ巡回棟方志功展国内展示』を開催。以後２年にわたりヨーロッパ主要都市を巡回。アメリカへ渡航。
	制作作品：ホイットマン詩集抜粋の柵／水谷頌板画柵／
1960年(昭和35年)	アメリカ各地で個展開催。日展評議員となる。患っていた眼病が悪化し、左目がほとんど失明する。
	制作作品：般若心経経文板画柵／
1961年(昭和38年)	柳宗悦が死去。
	制作作品：太平洋上御参尊の柵／薔薇妃の柵／
1962年(昭和37年)	渋谷東横百貨店内に棟方志功ギャラリー開設
	制作作品：瘋癲老人日記板画柵／白頭巾の柵／鳥持妃の柵／
1963年(昭和38年)	駿河銀行から東海道五十三次板画の制作の依頼がある。７回の取材旅行。年内に３９柵を完成させる。
	制作作品：婆羅々良伊賀の婦の柵／
1964年(昭和39年)	棟方志功板業代表作展が開催される。
	制作作品：東海道棟方板画／
1965年(昭和40年)	朝日賞（文化賞）を受賞。イタリア芸術院名誉会員となる｡
	制作作品：吉祥天妃の柵／
1966年(昭和41年)	河井寛次郎が死去。
	制作作品：ゴッホの柳の柵／
1967年(昭和42年)	日本板画院の名誉会員になる。アメリカ各地で個展開催。
	制作作品：誓刻の柵／天地救世の柵／審判の柵／
1968年(昭和43年)	アメリカ各地で個展開催が続く。大原総一郎が死去。
	制作作品：くちなし妃の柵／テッセン妃の柵／飛神の柵／門世の柵／
1969年(昭和44年)	青森市名誉市民第１号。
	制作作品：鐘溪頌板画巻／
1970年(昭和45年)	文化勲章受賞。文化功労者として顕彰される｡毎日芸術大賞。
	制作作品：落し髪の柵／西海道棟方板画／
1971年(昭和46年)	青森市内、棟方志功記念館の建設が決定。
	制作作品：続西海道棟方板画／
1972年(昭和47年)	草野心平とインド旅行。
	制作作品：南海道棟方板画／
1973年(昭和48年)	財団法人棟方板画館を設立。神戸の湊川神社で壁画を制作（御神社七媛図・御双鷹巌図）。展覧会：棟方志功蘭奢待頌展（日本橋東急）展覧会：現代日本美術店（東京都美術館）展覧会：棟方志功油彩個人展（資生堂画廊）展覧会：近代日本の版画展（栃木県美術館）展覧会：湊川神社壁画奉納記念棟方志功展（神戸そごう）展覧会：棟方志功寶門加得渡宇頌韻展（札幌東急）展覧会：棟方志功華厳展（日本橋東急）（板画７５作品、倭絵４０作品、油絵１５作品、書１４作品）写生旅行４月：深川～一ノ関～盛岡～宮古～三陸海岸～八戸～恐山～青森～十和田～弘前（３００点前後のスケッチ）写生旅行１０月：北海道写生旅行１０月：会津若松～山形～立石寺～尾花沢～尿前の関～最上川～鳴子～酒田～象潟～出雲崎～分水～三条
	制作作品：奥海道棟方板画（１３柵）／天間の三代女の図／柳緑花紅頌／天妃乾坤頌／華厳経唯心偈の柵（第５回日展）／人肌雨の柵／佳宵石割桜の柵（第２３回日本板画院展）／
1974年(昭和49年)	棟方板画館美術館開館（鎌倉）。慈恵医大附属病院に入院。志昂を志功に改名。展覧会：棟方志功油画展（日本橋東急）（油彩画２５作品）展覧会：棟方志功吉祥の柵吉祥展（吉祥寺東急）展覧会：棟方志功油絵展（本間美術館）展覧会：棟方志功展（ダラス　マーカス百貨店）（板画４０作品、倭画１０作品、油絵、５作品、書５作品）展覧会：棟方志昂芸業展（日本橋東急）写生旅行３月：伊豆半島、大島写生旅行５月：越後湯沢～直江津、金沢～永平寺～大垣
	制作作品：わだばゴッホになるの柵／羽海道棟方板画１３柵／捨身施虎の柵（第６回日展）／賛々の柵ー乾坤に競う（第２４回日本板画院展）／梨牟醐華妃神の柵／不盡の柵／越海道棟方板画／禰舞多運行連々絵巻（倭絵）／北海道大学構内並樹図（油彩）／出版関係：禰舞多運行連々絵巻（２５２部限定出版）
1975年(昭和50年)	日展常任理事となる。東急百貨店日本橋店の白木観音のご縁日四万六千日の為に倭画で白木観音図を描く。この作品が絶筆になる。９月１３日、肝臓癌のため東京都杉並区の自宅で死去。戒名「華厳院慈航真カイ志功居士」。青森市に棟方志功記念館が開館する。
	制作作品：白木観音図（倭絵）出版関係：わだばゴッホになる